概要
人とロボット、人とエージェントの親和的な関わりを議論するHuman-Robot Interaction, Human-Agent Interactionを専門の領域としています。人との関わりを志向するロボットやメディアを作りながら、人のコミュニケーションの性質や人間の行動メカニズムを解明する「HRI/HAIによるコミュニケーションの構成的理解」に関する研究を進めています。
多人数会話の沈黙を修復するコミュニケーション媒介ロボット
人と人との多人数会話では、適切な沈黙(silence)の修復(repair)により会話の場は維持されます。しかし、発話に控えめな参加者同士では、気まずい沈黙の時間が続いてしまうこともあります。本研究では、このような沈黙を修復するために、適切な次話者選択行動(next speaker-designation behaviors)を複数の中から選び、会話シーンや状況によりそれらを使い分ける「沈黙修復行動生成モデル」を構築し、コミュニケーション媒介ロボットへの実装を行なっています。また、その効果をアンケートによる主観評価、及び、人とロボットによる多人数会話のインタラクション分析による客観評価の両方から明らかにしています。
内気な人でも楽しく会話できるコミュニケーション促進ロボットの開発
会話や身振りなどで人間とコミュニケーションをとることを主な目的とした、コミュニケーション型ロボットの研究をしています。ロボットのふるまいや発話のデザインを検討して、コミュニケーションの苦手な内気な人でも会話を楽しく続けられる手助けをする会話促進ロボット。「思わず発言が促された」、「自分から会話を切り出せた」など、人の気持ちを揺り動かしながら人同士の能動的なコミュニケーションを誘う効果があります。(本研究は、内気な会話者の行動メカニズムを探るユニークな研究として、科研費・若手研究(B)(課題番号16K16102)の一部援助を受けて研究を進めています)
遠隔共食コミュニケーションの場を調整する仲介エージェントの構築
ネットワークを介して一緒に食事を共にする「遠隔共食コミュニケーション」は一人暮らし高齢者の社会的孤立の防止や、遠隔地家族間のQoL向上のために普及拡大することが期待されます。しかし、この「遠隔共食」の実施においては、遠隔地とビデオを繋ぐ前に電話をかけて相手の準備状況を尋ねないといけないため、実施を躊躇してしまう例がありました。また、毎日の実施はかえってストレスとなる場合もあります。そこで、本研究では、生活空間に配置したIoTセンサデータの蓄積・分析に基づき、相手の遠隔共食に対する身体的・心理的な準備状況などをアドバイスしてくれる仲介agentを構築しています。人と異なるagentを遠隔共食コミュニケーションの「仲介役」とすることで、人に直接言いづらい/聞きづらいメッセージをagentが代弁するなど、遠隔地家族間の仲を取りもつ働きを期待できます。(本研究は、一人暮らし高齢者や遠隔地家族間の社会的な繋がりを維持する研究として、総務省SCOPE(受付番号162103008)、科研費・基盤研究(C)(課題番号19K12070)の一部援助を受けて研究を進めています)
研究室名
ソーシャルロボット研究室 (social robot laboratory)
所在地
〒441-8580 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1 F-407
代表
大島 直樹 (Naoki Ohshima)